下総の細道(Life Is Like A Phantom)

百代の過客は月日にして行き来う年もまた旅人なり

つくられた縄文時代

 インパクトのあるタイトルを新聞の広告で発見。図書館にリクエストした結果、購入してくれました。

   

 著者は筑波大学の考古学が専門の先生。

 縄文時代と言う「時代区分」は戦後にできた日本独特の物で、世界的な考古学の区分としては新石器時代にしか区分されない、と言うことを知りました。

  広告に、

「それは戦後の発展段階史観が生み出した歴史概念だった。」

とあったので、もっと政治的な流れから作り出された日本史観なのかと思っていましたが、タイトルに反して、極めてまじめに考古学史から縄文時代がどう研究されてきたかを、分析した本でした。

 あらゆる条件を想定して、縄文時代をきちんと論じていて卒論のようで面白いです。

 縄文時代が注目されるようになったのも、日本の経済発展とともに宅地や道路建設が進むことで、土地造成開発によって遺跡が次々に出てきたことで、縄文時代の分析が出きるようになったと言うことを知りました。

 縄文時代のお墓の研究をしてきた人だけに、縄文人の生死感も書かれており、買いたい一冊になりました。