下総の細道(Life Is Like A Phantom)

百代の過客は月日にして行き来う年もまた旅人なり

里山資本主義

 なんとか「主義」って言うと昭和の端くれの人間としては、イデオロギーの匂いがプンプンしてくる訳ですが、里山資本主義は小さな経済圏を構築して少し今の資本経済とは距離置いて行きましょうよ、と言う話し。息子の勧めで読んでみました。

 小さい経済圏にはagreeですが、今の日本の総人口1億2千万人を全て賄えるかと言うとちょっと無理かと思います。戦前の7千万人規模の頃でさえ、食いブチの無い次男坊・三男坊が農業で食えずに満洲へ出て行った事実もあるので。

 森林活用や農業活用はこれからの人口減少社会で必ず必要になってくるので、それを望む人達が今のシェアエコノミーや自然エネルギを活用して少しずつ変わっていけば良いのではないでしょうか。

 住んでいる界隈から3.11の時にお米が無くなって困って以来、その方向性を考え続けていました。資本経済の最先端である会社生活もそろそろピリオドが近くなりつつある今、そろそろdecisionするタイミングなのかもしれません。

 「技術者たちの敗戦」に続き、作者・前間孝則の「悲劇の発動機『誉』」を読んでみました。

 全440ページの大作ではありますが、技術者の端くれとしては戦前の飛行機エンジンの開発史にグイグイと引き込まれ、一気に読みました。

 文官の地位が技官よりも高い日本社会では、戦後も何も社会構造が変わらない中で「誉」と同じ失敗をH2ロケットで繰り返している、と言うあとがきの文章に尽きるのでしょうか。

 戦中のどさくさに比較的自由な雰囲気の中島飛行機で、高い技術にチャレンジしていた帝大卒の若いエリート達は、苦しくも面白い開発がさぞやできたかと思うとそのワクワク感がたまらなかっただろうし、時間を掛けて培ったエンジンのセオリーを無視して品質問題を多発して結果的に敗戦の一要因となったとそしりを受けており、その反動から品質を磨き上げた戦後の日本の工業を支えたことも事実でしょう。その反面、技術開発を管理している国や会社の体質は100年変わっていないことも事実で、反省のできない国に住んでいるんだとつくづく思い知らされました。

 今日の参議院選は18歳になった息子が初投票。明日を変えられる一票になることはないだろう、と思いながら選挙に行ってきました。