下総の細道(Life Is Like A Phantom)

百代の過客は月日にして行き来う年もまた旅人なり

東北の歴史

 我孫子の図書館で東北の歴史の本を探していて、偶然見つけました。2012.1.30発行の本でした。

 そもそも、なぜ東北の歴史を調べようかと思ったと言うと、あの大震災にもぐっと我慢している様子を見ながら、本当は東北が日本で一番強い人達なのではないか?と思ったからです。

 石器時代から日本が侵略らしい侵略を経ずに合理的な集団形成ができているのは、実はこの何もかも飲み込むような懐の深さのような東北の文化が根本にあるのではないかとも思ったからです。

 本書の中にも出てきますが、「近年の研究では、農耕よりも狩猟や漁業のほうが日本との貿易に有利のために『自主的に』農耕を捨てて狩猟民族化したのがアイヌと考えられている。」と言うところに何か本質的な争わない文化の本当のヒントが隠されているような気がしました。

 私も2年半しか仙台には住んでいませんが、著者が最後の章で書いているところの

「東北人とは、先祖代々同じ場所に住みつづけている人だけではなく、わずか数年いただけでも、また父母のどちらかが、あるいは伴侶が東北出身というだけでも、十分に東北人となる資格がある。」と言うくだりに深く共感を覚えました。

 多賀城主が百済から来た人だったとか、青森の南部氏が山梨の出身だったとか、歴史書としてもなかなか新鮮な発見が色々とあった一冊で面白かったです。