下総の細道(Life Is Like A Phantom)

百代の過客は月日にして行き来う年もまた旅人なり

最近読んだ本

 よその図書館から借りてくれました。

 「不屈の春雷」の牧久さん著作の満州開拓はなんだったのか、と言う本。上下2巻の表紙のコピーを取って、「アッ」と思わず声がでました。

 素晴らしい装丁です。

 満州開拓と言うと、「傀儡国家」「中国侵略」「悲劇の引き上げ」と言う側面しか伝えられいませんが、大恐慌による不況と労働者過剰の時代背景のなかで、目指していた「植民(移民)」から「植民地化」に変質していったこたことが読み取れました。

 「二キ三スケ」と言う官僚支配となっていく過程や、その三スケの一人・岸信介が首相にまで復活してしまう戦後の日本政治の過程をもう少し詳細に知りたくなりました。

 寒冷地開拓実験の位置づけから、寒さに辛抱強い東北や信州からの開拓農民が多かったことが頷けます。

 工場が海外に出て、国内が空洞化して、労働力が余っていく先進国はあの時代と同じ状況が再び訪れるのではないかと少し恐ろしくさえありました。

 

 専門は組織論(そんな論があったのか?)、と言う同志社の先生の本。

 「見せかけの勤勉がはびこる」「パラサイト・ミドルを救え!」「過剰管理が不祥事の温床」「厳選された人材は伸びない」等々、耳の痛い話が満載でした。

 だからと言って「欧米のように」とは書いてなかったところが面白いです。